こどもだったころの、あなたへ
【心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
かんじんなことは、目に見えないんだよ】
「星の王子さま」に出てくるキツネは、出版から
70年以上経ったいまも大切なことを教えてくれます。
今日6月29日は、私が大好きな作家、
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの誕生日。
1900年にフランスで生まれた彼は、第二次世界大戦中にアメリカへ亡命し、その間の1943年4月に
「星の王子さま」が出版されました。
そしてパイロットでもあった彼は、翌年の1944年7月31日に偵察飛行に出て帰らぬ人となりました。
この本の冒頭に「レオン・ヴェルトに」捧げるという献辞があり、その理由には、
親友だからということと、彼が子どもの本でも理解できる人だからということ、そしてフランスに住んでいる彼がいま、ひもじい思いをしていて慰めなければならない人だから…と書かれています。
このレオン・ヴェルトという人は実在する人で、出版された当時はナチスドイツの弾圧対象である
ユダヤ人でした。
「かんじんなことは、目に見えないんだよ」
大人になった私たちは、つい目に見えることばかりを追い続けてしまいます。
収入や支出の数字や、多くのスケジュールをこなす時間に頭を悩ませ、自慢できる肩書きに溺れ、見た目だけの美しさに価値を感じて…
そして、それがどれほどの意味も持たないことに気づいてしまうと、自分の存在さえ意味のないものに思えてしまうから、 “大人” は “かんじんなこと” から目を逸らし、“目に見える世界” をぐるぐるとまわり続けることで、自分を守っているのかもしれません。
理屈や利益などなくても、好きなものを好きと言えた…
命の神秘に魅了されていた…
そんな子どもの心を持って、“かんじんなこと” を大切にしながら生活することは、ある意味この世の中ではとても生きづらいことかもしれません。
けれどやっぱり、そんな “子どもの心” を大切にしていたい… 「星の王子さま」を読むと、私はいつもそんな気持ちになれるのです。
サン=テグジュペリの中では、 “目に見える世界” の行きつく先が “戦争” だと考えていたのかも
しれません。
「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。
しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。」
- 作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,内藤濯
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/03/10
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