絵の中の本質
【感銘を受けたもの、いわば
本質的なものだけを再現すればよい。
そうすれば、記憶と空想は
自然の圧制から自由になれるのだ。】
1834年の今日7月19日に、パリの銀行家の
裕福な家庭にエドガー・ドガは誕生しました。
バレリーナが躍る姿で有名な “エトワール” 。
印象派展に出展していたので、ドガを印象派と言う人も多いのですが、正確には画法が違いますし、
彼自身も印象派と言われるのを嫌がっていたそうです (^_^;)
そして印象派の画家たちが太陽の光の下で制作活動をしている中、彼だけが “バレリーナ” という
室内での作品を描き続けました。
その最大の理由は、彼の描写力が病的なほど優れていたことです。
動作だけでなく、まるで心理学者のように、モデルが見せる一瞬の表情からその人の本質を読み取り
本人が知るより、その人らしさを表現する …とまで言われていたんだそうです。
そして、また別の理由としては、目の病気のために太陽の光の下では目に負担がかかること、
また他の画家と違い裕福だったので、パリのオペラ座の年間指定席を購入していて自由に出入りが出来たこともあったようです。
そんな自由なドガの生活が一転します。
父親が亡くなった時に多額の借金があることがわかり、その返済のために彼は絵を描かなくてはいけなくなったのです。苦しい生活の中でもオペラ座の年間指定席だけは買い続け、バレリーナの絵を沢山描きました。
美しく踊るバレリーナの後ろに立つ男性…
実はこの時代のバレエは人気が衰退していて、多くのバレリーナにはパトロンがいたというのです。
美しい舞台で踊るバレリーナの “本質”
…したたかに生きていく人にこそ、ドガは “感銘を受けた” のかもしれません。