Paper Moon
「あなた惨めなの?」
昨日の9月27日は中秋の名月、そして
今日9月28日はスーパームーンということで、
2夜連続、「月」が注目されています。
…という訳で、
最近観た「月」の映画が「紙の月」です。
冒頭の言葉は主人公の梅澤梨花(宮沢りえ)が捕まりそうになっている自分を「惨め」と表現したときに、同僚の隅より子(小林聡美)が言った印象的なセリフです。
「最も美しい横領犯」といサブタイトル通り、主人公が犯罪に手を染めていく姿が描かれている映画。
そもそも、この「紙の月」というタイトルが気になったので調べてみたら、どうやら英語の
“Paper Moon” から来ているようで、この英語には紙の月という意味以外に
作り物という意味があり、
その背景には、まだカメラが各家庭に普及する前のアメリカで、作り物の三日月に座って
記念写真を撮るのが流行ったことがあったからのようです。
月に座っている写真は、本来は手が届かないはずのモノを手に入れている姿… なのでしょうね。
たとえ、それがホンモノでなくても…
束の間の喜びであることを知っていたとしても…
「あなた惨めなの?」
そう、私たちは自分が犯罪者にならない為に、常識という名の “観念” を持っていて、危険なことから守ってくれています。けれど観念が強くなり過ぎると、この映画の隅さんのように、銀行員として正しく働くために夜更かしさえ出来なくなります。
横領犯になった主人公と、正しさ故に単調な生活を繰り返す隅さん…
どちらが、惨め? …そう問いかけられている気がしました。
犯罪者になるのは極論ですが、もし自分の中に二人のキャラクターが存在するとしたら、どちらを強く出す人生を選択していきたいと思うでしょうか?
紙の月(=Paper Moon)を、人は所詮ニセモノだと笑うかもしれません。
けれど、その瞬間、自分がホンモノの喜びを手にすることが出来たなら、
月自体が本物でも偽物でも関係ないのかもしれません。
そうやって考えると、自分の世界をホンモノにする力は、
その人の中にしか存在しないことが良くわかります。