自然が教えてくれること
【自然が創り上げたものこそが美しい。
我々はそこから発見するだけだ。】
1852年6月25日にスペインで生を受けた天才建築家 アントニ・ガウディは、74歳の誕生日を目前に控えた
1926年6月7日の夜、ミサに向かう途中で路面電車に轢かれ、3日後の今日6月10日に息を引き取りました。
亡くなってから89年経った今もなお工事が続けられている “サグラダ・ファミリア” をはじめ、
バルセロナの街を彩る斬新で美しい建築物たちが彼の名声を不動のものにしていますが、
晩年の彼は俗世を捨て、敬虔なキリスト教徒として教会の建築のみに身を捧げていたため、
事故に遭ったときも誰もが浮浪者だと思い、助けが遅れたことが致命傷となったのだそうです。
そのことを先日まで行われていたガウディーと漫画家井上雄彦さんとのコラボ展で知った私は、
複雑な思いで受け止めたのですが、いま思うと、きっとガウディ自身はこの最期を悔いてはいないように感じます。
…というのも、 展示会でも紹介されていましたが、誰も真似ることが出来ないほどの偉才ガウディでありながら、神が創造した自然には敵わないという思想を持ち続けていました。
「芸術におけるすべての回答は、偉大なる自然の中に全て出ている。
ただ私たちはその偉大な教科書を、紐解いていくだけだ。」
ガウディの最期さえも、神の創造…思し召しだったのかもしれません。
そんなガウディーは勿論ですが、その展示会では井上雄彦さんの表現力にも感嘆しました。
なので井上雄彦さんについても調べてみたら、彼もこんなことを言われています。
「マンガを描くことも含めて、ものを作るのって、『どれだけ邪魔をしないか』だと思っています。
『創造するのは神』という言葉と近いかもしれない。ものを作る行為の中には、その時々で自然に導かれるべき流れというものが存在する。その流れをいかに邪魔しないようにするか。
『俺がやってやるぜ』と自意識が前に出てくると、自然な流れをどんどん邪魔してしまう。
そんな流れに沿った方向を、最大限に引き出し加速させていく。
僕もそんなもの作りがしたいと思いますね。」
恐らく “成功者” と言われる方たちは、この『自然に導かれる流れ』 というものを知っていて、
それに身を任せることが出来る人なんだと思いました。