No More …
【キリストもユダヤ人だから、
生きていたら黄色い星を付けてた…】
1942年の今日7月16日は、フランス政府がナチスに
荷担して行なった、史上最大のユダヤ人一斉検挙
ヴェル・ディヴ事件があった日です。
この日の未明からユダヤ人は年齢や性別、健康状態に関係なく一斉に約 1万3000人が検挙され、
エッフェル塔近くにあるヴェロドローム・ディヴェールという冬季競輪場に押し込められました。
水も食料も与えられないまま一週間近く放置された後、絶滅収容所に送られたので、検挙された中で
終戦まで生き延びた人はわずか数十名だったそうです。
そして、この事件を映画にしたのが「黄色い星の子供たち」で、冒頭の言葉は映画の中の子供たちの
会話に出てくるセリフです。
“黄色い星” というのはユダヤ民族を象徴する “ダビデの星” の形をした黄色いワッペンのことで、
ナチス占領下のパリでは、ユダヤ人が一目でわかるように、胸にこの印を付けることが義務付けられていたのです。
ホロコーストの映画の感想で、「ナチスはどうしてこれほど酷いことが出来たのだろう…」
「人として、心が痛まなかったのだろうか…」
ということを言われる方がいますが、私はその受け取り方こそ 危ういと感じます。
“ナチス” だけがたまたま恐ろしい集団だったのではなく、私たちも “戦争” が始まってしまったら
人権などなくなり、命令に従って「殺すか」、命令に背いて「殺されるか」のどちらかしか
無くなってしまう集団の一人だということです。
そして多くの人は生き残るために 命令に従って「殺す」ことを選び、やがて人を殺すことへの
痛みを感じないように心が麻痺していく
…これこそが集団で人を殺そうとする “戦争” の怖さだと思うのです。
さらに、この事件から3年後の1945年の今日、アメリカのニューメキシコ州にあるトリニティ実験場で
世界初の核実験が行われました。
広島では14万人、長崎では7万人の犠牲者が出た原爆は、実験から1ヶ月も経たないうちに
投下されたのです。
私たち日本人はいま、まさにこの “戦争” と “平和” の分岐点に立っています。
あなたは、この時に何を選択しますか??
映画の中で、なぜ自分たちが迫害を受けるのかわからない子供が呟きます。
「ぼくたち、大人になれるのかな?」